2011年10月18日火曜日

古きを訪ね新しくを知る

このブログを読んで頂いているということは少なからず文房具が好きな方で
あると思って記事を書いております。
新製品の発表やイベント参加、文房具を探す旅(略して文旅)など、まだ
産声を上げて間もない中でちょっとづつエントリーしておりますが、今回は
たまたま地元の小さな文房具店で出会った店主のお話を書かせて頂こうかと
思っております。

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ノコギリ刃付きの肥後の守

最近始めた文旅なのですが、街の小さな古き良き文房具店を探しに携帯や
カーナビを頼りに週末に出回ることがあります。
先日訪れた小さな文房具店。
そこには確かに今現在販売されている文房具も多数並べられておりましたが、
ショーケースや、引き出しの中などにちょっと古いものも数点ありました。
店主がものすごく理解のある方で、何を見ているのか、探しているのかを
聞いてくれて、それに見合ったものを次々と出してきては「知っているか?」と
嬉しそうに話してくれるのでした。
そこには今ではあまり見られなくなった形の鋏や肥後の守、芯研ぎ器など、
見る人が見れば大いに興味が惹かれるものがありました。
それを手に取ってみてはその時代の背景などを話して頂き、自分の知らない
ことなどを細かく教えて頂きました。
ここまではよくある話なのだと思います。
少なくとも自分は数度経験していますし、みなさんも経験があるかもしれません。
実はこの日訪れた文房具店がたまたまだったのですが、近所のお寺の熨斗や紙縒りを
取り扱っているお店で、それらを購入しに来たお客様と一緒になったのです。
その方々のお父さまが亡くなったという悲しい話だったのですが、この文房具店の
店主と昔からの知り合いらしく、お店を訪ねて来た方々も小さい子をからこのお店に
通っていたという事でした。
店主は昔話をしていながらも、親切丁寧に商品の説明をしては、いつものようにな
対応をされていたのだと思います。
お客様が帰られてからまだ居るわたくしだったのですが、当時の話を少し聞かせて
頂きました。
この地域は小、中、高と学校が多く、その地域に根付いた古き良き文房具店が沢山
あったという事でした。
当時は営業の方が商品をお店に持ってきては置いてくれないかという話のあとに、
お金のやりとりは後日という、今でいえば買掛金みたいなものでしょうか?
それが移り行く世間の波で、半額納金、全額納金となっていき、実際の物が届く
前に担当者が地方に行ってしまうなどして、金銭のやり取りだけが残されるという
ことも多くなってきたそうです。
小さな文房具店ですから、そこまでの在庫も、金額も持ち合わせていないとなると、
何も払えないという事も多々あり、そこから店舗を閉店せざる得ない状況になって
いったと店主は悲しそうに教えてくれました。
自分の店は息子さんが後を継いでくれるとのことで安心していると話しておりましたが
それでも大型販売店などには敵わないと言っておりました。さらに在庫を管理していた
倉庫を取り壊して自分の家の車庫に改装しており、店先に並んでいた古い文房具などは
一斉に処分をしてしまったとのことです。
この地域にあった文房具店もほとんどが店を畳んでおり、残り2件くらいしかないと
伺いました。確かにどこに行っても見当たらないはずです。地図上では文房具店とは
明記してあっても、ハンコ屋や電機屋など姿かたちを変えて現存しているようでした。
沢山の興味深いお話と、悲しいお話を聞かせて頂き、店主には本当に感謝しております。
また、息の長い地域に密着した文房具店を続けて頂ければと思います。
自分もこれからも文旅はしていくと思います。
古き時代に作られた文房具はどこか温もりがあり、現代の機能的なものとは一線を画した
良さがあると思います。出会える回数も多くはないと思いますが、歴史や背景を伺える
とても貴重な体験がそこにはあると信じております。
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今回訪れた文房具店で購入してきたものを上げていきたいと思います。
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・UCHIDAのプロイレイザー
→生産終了となったために現存するものしかないのですが、こちらがツイスト式。
ノック式は所持していたのですが、やはりデザインが秀逸です。
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・刃物(一まとめにしてスイマセン)
→手前から古い鋏、ボンナイフ、肥後の守(2個)
こういった古い刃物を見つけるとちょっと興奮してきてしまうようになってしまいました。。。
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・筆記具
→上がPentelのFunction357。0.3mm、0.5mm、0.7mmと1本に3種の芯が入ってます。
→下はBOXYのシャープペンシル。存在は知ってましたが、手に取ると嬉しいものです。
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・バレットペンシル
→バレットというのは弾丸ですね。エクステンダーとして使用できます。
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・KENT 2mm芯
芯ホルダー用の2mm芯なのですが、通常横並びでケースに入っていると思っていたのですが、この形なかなか
珍しいと思い持ち帰ってきました。メーカー、詳細は失念。。。
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・ダーレ 芯研ぎ器
→ブッ挿してグルグルと回すものです。この手の芯研ぎ器は現存しているのがなかなか見られなくなってきましたね。
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記事の一部修正
・2mm芯 → メーカーがKENTだと後に判明
・芯研ぎ器 → メーカーがDAHLEだと後に判明
※ご指摘いただきました@taimichiさん、@everfutoshinさん。ありがとうございました。

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