2011年9月22日木曜日

SNS トリマトメ

あまり手広くやりすぎるのも如何なものなのかとも思ってはいるのですが、
何だかんでもWeb系の仕事をしている以上少なからず知識は入れておきたいもので。

過去にもさんざんサイト構築したり、Blogを同時に4本くらい書いていたりと、
自分でも手に付けられないくらいにやっていた時期もありました。。。

今思えば趣味を広げ過ぎていたのもあるかもしれませんし、どれも中途半端だったのかなと
猛省しているしだいです。

ですので、ここでいったん現在のSNS関連の情報をマトメておきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

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[ Blog ] Bungu Life Thinking
http://micchyr.blog98.fc2.com/
#開始してまだまもなくエントリーも60件程度なのですが、今後ココを中心に情報の発信基盤として
活用して行こうと思っております。


[ twitter ] @Micchy_R
http://twitter.com/#!/Micchy_R
#日々の雑多な呟きとBlogの更新情報など。サッカーの試合の日になりますと関連ツイートが多くなり、
TLを荒らしてしまっているかと思いますが、そこはご理解いただければと。


[ Facebook ]
http://www.facebook.com/profile.php?id=100002958756191
#本当に最近始めたばかりで、何ができるのかも分からない状態です。とっても便利!との情報を
頂いているので、こちらは勉強しながら継続していこうと思います。


[ スマートフォンサイト ] Bungu Life Thinking / smart4me
http://smart4me.net/blt
#登録はしていたのですが、なかなか更新にも至らず。スマートフォン版のサイトなのです。
iPhone、Androidから最適に見ることができます。
Blog、twitterとも連携しているので、同時に追うことが出来ます。
サービスは10ページまで無料で作成できる素敵なサービス!
Webから10分で構築できるとなって、手軽さも兼ねてます。


[ Webサイト ] Bungu Life Thinking / Web Version
http://micchyr.web.fc2.com/
#たんなるコンセプト的な意味合いで描いただけで、実際には稼働はしていないのが現状です。
改めて時間をゆっくりとりちゃんとしたサイトを構築できればと思っております。



こんな感じでやっておりますが、Bungu Life Thinking(略してBLT)今後ともヨロシクお願いします。

雑司ヶ谷 みちくさ市 ブングテン4Vol.2

前回の記事はコチラになります。

今回の記事も出展者のみなさまの写真を掲載して行きたいと思います。
それでは参ります。

木木屋さんの消しゴムはんこ。
削らないではんこにする発想はスゴイですよね。
じっくりと教えてもらいたいものです。
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こちらはネリ消しで描いたものだそうです。
消しゴムって筆にもなるんだと思い知らされました。
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isu式展開型ペンケース!!
こちらのサイトでは詳細が見れます。
制作段階の苦労話などなどイロイロお話を伺うことが出来ました。
オリジナルを作るっていうのは一筋縄ではいかないし、軽くも言い出せないなぁと。やりたいけど。
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こちらの写真はブングテンとは別に出展していましたブング店のものです。
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掘り出し物沢山で買っておけば良かった。。。
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ヤチョスキン。完売したそうです。
Port-mineから生み出された伝説のノート。
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紙ものも販売しておりました。
詳しくは螢窓舎さんにて。
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懐かしい雰囲気。
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消しゴムも沢山置いてありました。買っておけば。。。
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手前に影が入ってしまっていますが、アメリカ製の繰り出し型シャープペンシル。
今のノック式と違って風合いがあります。
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リトル手紙喫茶。
オリジナルのインクで書き試しも出来ました。
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色合いの綺麗なペンたちです。
こういうのを使いこなせるようになりたいものですね。
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コーリン色鉛筆。
国内ではなかなか売ってないんですよね。
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開場してすぐの様子です。
みなさま暑い中お越し頂きましてありがとうございます。
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文具王ときだてさんのトークイベント「The はさみ」の会場設営中です。
手作り感満載の暗幕。取り付けるだけで汗だくだったんですけど、この部屋が一番涼しかったのは確かです。
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ものぐさ館長が追加で展示した数々。
手前には懐かしい「2020」シリーズが置いてあります。
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出展者さまの写真だらけとなってしまいましたが、お越しになられなかった方には少しは雰囲気を味わって頂けましたでしょうか?
そしてご来場して頂けたみまさまには心からお礼申し上げます。
わたくしも前回に引き続き2回目の参加でした。
微力ながらお手伝いさせて頂き、本当にありがとうございます。
開場でご挨拶できた方、出来なかった方、沢山の出会いに本当に感謝です。
文具交換会でわたくしの万年筆と交換して頂いた@kikuznさん、筆記具改造講座に参加して頂いたみなさま。
重ね重ねになりますが、ありがとうございました。
またお会い出来る機会があるかと思いますので、その時はよろしくお願い致します。
そして今回のブングテン4出展者のみなさま、お手伝いしていただいたみなさま、本当にお疲れ様でした。
また次回?ありましたらよろしくお願いします。

2011年9月20日火曜日

雑司ヶ谷 みちくさ市 ブングテン4Vol.1

昨日9月18日に行われておりましたブングテン4に参加させて頂きました。
丁度一年前に第一回が行われたブングテン。
今回は初の試み、トークイベントとブング店(物販)への出展でした。
ワークショップも増えて、見るにも参加するにも楽しいイベントへと進歩してきてます!
ワタクシも進歩して呼んで頂けるようにしたいです。

Vol.01では参加された方々の様子を掲載して行きたいと思います。
表示に時間がかかるかもしれませんがご了承ください。
それでは参ります。

こちらは大人の壁新聞「オタ☆ブン」
多くの方に投稿して頂き、とっても立派な新聞になりました。
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準備の様子
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keroの夏休み自由研究
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宇田川一美さんによるワークショップ。準備中。
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木木屋さん消しゴムはんこワークショップ。準備中。
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Filix_ さん 文房具交換会
わたくしの交換に出していた極細の万年筆はニードルのボールペンとなって帰ってきました。
大切に使ってもらえると本当に嬉しいです!
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赤青鉛筆さん ファーバーカステルの鉛筆展示
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リトル手紙喫茶。
明日は敬老の日。おじい、おばあにお手紙を!
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消しゴムマニアさんの 消しゴム展示
駄目な文房具ナイト見た方にはお分かりになるかと思います。
超極小の消しゴムなのですが、クワガタとか恐竜とか分かりますでしょうか?
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お菓子系の消しゴム。
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「消」型の消しゴムとか。
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ものぐさ館長によるコレクション展示
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川窪万年筆さんによるワンコインクリニックとワークショップ
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ロディアカバーのワークショップ
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今回も写真多めになっておりますが、次回に続きます。

2011年9月12日月曜日

アーネスト フィーノ

アーネスト「フィーノ」 ¥840

アーネスト株式会社から発売されている「フィーノ」のご紹介です。
さて、文房具界で有名なダジャレの全くないネーミングで何をするものなのかも分からないと思います。
このアーネストという会社はアイデア商品、それもキッチン用品に強い会社のようなのです。
海苔を細かく裁断するハサミをシュレッダーハサミとして発売したところなんだとか。
外見はこのような感じになります。
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オールステンレスなので、余計なパーツも一切ないですし、見た目は美しいですよね。
閉じた状態なら2cmくらい?なので、普通のペンケースなどにもスッキリ入ります。
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これを開いていくとこうなります。
ガシッ!
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ガシガシッ!
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この辺の感じ伝わるでしょうか?
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一つ残念なのはPPのケース。
カラバリはベージュとネイビーの2色展開になっているのですが。
うむむ。ここまでスッキリしているのにケースだけPPってのはいかがなものなのかなと。
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切った感じは至って標準ですが、ハンドル部分が抜けているので全体に力は入りぬくく、切って行くには少し難しいかもしれません。
開いた状態でも柄は固定されていないので、持つ指を工夫して作業しないと、もどかしいです。
ですが、こういったハサミというのはどちらかと言えば緊急用とか応急処置用とかの、致し方なく作業する場合に使用するというのがあっていて、普段使いするのには全く違うものを選択した方がいいと思います。
携帯性の良いハサミも増えてきていますが、ここまでデザインとして綺麗なものはないかなと。
ケースを除けばですが。
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Foldable Scissors = 折り畳み式ハサミ
最近は古いハサミを求めてあちこち探しまわっているのですが、なかなか出会いの無い状態で、こういうのが出てくるってのも何だか不思議な縁なのかも知れませんね。
しばらくはペンケースに収めておこうと思います。

2011年9月7日水曜日

[ 告知 ] 筆記具改造講座 in ブングテン4

日付:2011.09.18
時間:11:00 - 04:00:00 PM
場所:旧高田小学校(「みちくさ市」第二会場) 1F職員室「ブングテン4」内
住所:東京都豊島区雑司が谷2-12-1

毎回好評のワークショップ「筆記区改造講座」に微力ながら参加させて頂くことになりました。
文具店に売られていない、ここでしか手に入れることのできない筆記具をみなさんで作りましょう!

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シャープペンシルやボールペンを芯ホルダーにしてしまったり、0.5mmのシャープペンシルの
サイズを変更して0.7mmや0.9mmになど文房具店では販売していない物を創り出します。
「あ、この軸の色好きなのに何で0.5mmしか無いんだろう?」なんで思ったりしたことはありませんか?
そんな不満を解消出来るのがこの改造講座です。自分も創り出した時には感動しました。
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前回のブングテン3での講座の様子です
この時はGraph1000を0.5mmから2.0mmに改造しています。
他にもLamy Safari、Lamy note、arbez、Kerryなどなど。
詳しくはお師匠様である筆記具改造摩ことisu氏のサイトから確認できます。
お問い合せ、申し込みなどはコチラのサイトからお願いします。
・uc_2
・the uncomfortable chair
詳細などは公式ページがあるので、それぞれ確認して頂ければと思います。
・みちくさ市ブングテン Facebook公式サイト
・みちくさ市ブングテン 公式ブログ
・みちくさ市ブングテン 公式ツイッター @bunguten
今回参加される方々の一覧が掲載されています。
ワークショップ、展示などに加えて今回新たな企画!
・大人の壁新聞局
・文房具交換会
・リトル手紙喫茶
そして、「ブング店」としまして物販も行う予定なのです!
もうこれは観に行かない手はないですね。
さらに、文具王こと高畑正幸氏とイロブンコレクターのきだてたく氏のコラボ企画。
トークショー「The はさみ」。はさみトークであなたのハートを挟み撃ちです。
先日のシンジュク・ブングジャム、駄目な文房具ナイトでのトークを聞いた方も、
ニコ生で見た方も、見れなかった貴方もこの機会に是非ぜひお越しくださいませ。
参加者一同おまちしております。
ブングテンで僕等と握手。

2011年9月4日日曜日

[ 文房具短編小説 第1話 ] 消したい想い

彼女は走った。
こんな夜中に全力で走っている自分に嫌気がさしていたのかもしれない。
信号待ちのたびに膝に手をあて、肩で呼吸している。鼓動の高鳴りは呼吸の乱れではないのを感じていた。
月明かりに照らされた樹々は、夜風にそよぎいつもより賑やかに感じられた。それは彼女の期待を煽るにはじゅうぶんだった。
いつも待たせているのには悪いとは思っているのだが、それを心地よい笑顔で受け止めてくれる彼。その彼とは今年で7年の付き合いになるが、いつもより声を震わせながら電話がかかってきたのは昨夜のことだった。

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彼は待った。
いつものことだと考えればそれはすごく簡単なことだった。
目の前には飲みかけのモヒートが置かれていたが、どうにもこれ以上クチをつけるタイミングを失ってしまった。
吸い始めた煙草の煙の行方を追うように、そっと天井を見上げる。それはいつも見ている風景でもあったが、今日は妙に色褪せて見えていた。
いつも待っているのは彼なりに好きでもあった。相手を待たせるのは気分が悪いが、逆になるとそれは不思議と穏やかな気持ちにもなれる時間だったからだ。何かあったのではと思う時もあったが、その溝を埋める時が来たのではと心なしか考えたのは昨夜のことだった。それを確認するために彼は電話を入れることにした。
ユキは待った。
いつか彼から話しを切り出してくれると思っていた。
7年の間に何回も話しあって来たけれど、なかなか結論には至らない彼に少なからず飽きれていたのかもしれない。でも、そう思わせていたのは自分にも理由があるのではと思い始めていた。
目の前の事に夢中になるだけでなく、周りが見えなくなるのがたちの悪いところ。
ここまで上がってきたのはそれなりの努力と向上心なしでは成しえなかった。それを理解して欲しかったと言えば何という厚かましさだったのだろうか。
自分と彼の将来像を描くには方向性に違いが見えていたのかもしれない。
アツシは走った。
昨夜の電話で話している中で大きな想いが膨らんでいた。
いつかは一緒に。それは長年想い続けていた二人の未来。でも、自分には全く自信がなかった。今のままで彼女は飛び込んできてくれるのだろうか?アツシを悩ませていたのは些細な事だったのかもしれない。
得意先からの急なクレームに対応していたために大幅に時間が押してしまった。店が閉まるのは21時。僅かな希望にかけて大通りでタクシーを拾った。
店の扉が開くと、店内にはベルの音が鳴り響いた。
ユキが真っ先に見たのはカウンターの一番奥の席。二人のお気に入りの席だった。
しかし、彼の姿は見当たらない…
カウンターには飲みかけのモヒートと灰皿には数本の煙草がキレイに並んでいた。
トイレかな?と思ったて隣の席に腰掛けてた時に、後ろから声をかけられた。
ユキさん?
声の主はバーのマスターの比革だった。
アツシさんなら15分ほど前に帰られましたよ。どうなさいますか?
ユキはその言葉に疑った。
何も言わないで変える事など過去にも無かったし、連絡も入れないなどありえなかったからだ。
そ、そうですか…
では、一杯だけ。
そう伝えると、ユキは携帯を取り出しメールを打ち始めた。
ユキの前にマティーニが置かれた。
彼女がありがとうと言うと、比革がメモを取り出しカクテルグラスの横にスっと差し出した。
アツシさんから預かってました。
そう言うと、比革は店の奥に歩んで行った。
ユキへ
きょうだけはちゃんと向き合って話したかった。
また連絡します。
アツシ
短い言葉だったが、いつもとは違う雰囲気が感じられた。メール入れてくれれば良いのにと思いながらも、メモを残した彼の想いに浸っていた。
ユキは少し温くなったマティーニをぐっと飲み干すと、アツシにメールを送り店を離れることにした。
駅まで歩く間、メモを見つめながら、自分に何が出来るのかを考えていたが、自分から行動できない苛立ちもあった。仕事なら自分を出せるのに、彼の前では素直になれない…
彼女強さが逆に首を閉めていたのだ。
アツシが店の扉を開けると、いつもの席にユキが先に座っているのが見えた。
珍しいな。そんな想いにかられたけが、素直に嬉しかった。
昨日事にはお互いに一切触れなかった。
それは一緒に過ごした時間だけが理解してくれている。
だから、いつもの様に過ごせることが喜びでもあった。
しかし、それはほんの一時間くらいのことだった。
ユキの携帯に時を割いてしまいそうな呼び出し音が鳴り響いた。
ゴメンね、と言いながらユキは携帯を片手に店の外にまで出て行ってしまった。
アツシは手元にあるモヒートを飲み干し、別の注文を頼もうと店内を見ました。
比革の姿は見当たらず、最近入ったと言うアルバイトの万城村という若い女性を呼び止めた。
何か強い酒を…
ユキが謝りながら店内に戻ると、上着と鞄を持ち出しその場から立ち去るような雰囲気だった。
どうした?声をかけた。
ゴメンね仕事が入ったの。
ユキはそれ以上言わず店の扉を開けて出て行ってしまった。
比革が奥からロングアイランドアイスティーを運んで来た。
二本ささったストローの片方を指にからませて、いっきに飲み始めた。
そっと上を見上げると、声が漏れていた。
またか…
目の前の事に夢中になりすぎて、走って行く彼女の事ももちろん好きだった。
でもな…。
気が付かなかったのは、万城村に話しかけられた時に分かった。
あの、、
コースター、、
一瞬何を言われているのかが分からなくなり、視線は空を切っていた。
よく見るとコースターの下にメモが置いてあることが分かった。
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どうやら上の空でいたらしい。
全く気づく事がなかった。
手にしたメモには名前が書いてあるだけだった。
春野 淳司
北川 雪
アツシはメモを眺めながらユキの事を懸命に考えていた。
このメモには何らかの想いがあるのだろうなと…しかし、鈍感な彼には分かるはずもなく、ただただ時が流れて行くだけだった。
半分。いや、それ以上諦めて帰ろうかと考えていた時に比革から話しかけられた。
これを。
短い言葉をかけ一本のペンを置き去り、空いたグラスを片付け始めた。
何の変哲もないペン。
キャップ式のその辺で買えそうなペンだった。
比革の差し出したペンを格闘しながらある結論に辿り着いた。
参ったな。
まさかユキから伝えられるとはおもわなかったな。
何かを理解したのか、すこしはにかんだ様子のアツシに、比革は変わりのカクテルを差し出した。
比革さん?
こんなペンありますか?
ユキに話しかけられた比革は、あるよとだけ答え、彼女のマティーニに横にそっと差し出した。
何やらゴソゴソと鞄をあさっている彼女を横目に、比革はシェイカーを持った。
店内には氷の奏でる心地よい音が鳴り響いた。
自分の鞄から取り出したペンと比革に借りたペンを使って名前を書き出した。
そして、比革に一つお願いをした。
彼が来たら私の携帯に電話をかけて下さい。
わたしが出たら直ぐに切って下さい。
そして、彼がもしカクテルを注文したら、このメモを渡して欲しいんです。
多分なにも分からなく迷うはずなので、最後にこのお借りしたペンを差しだして下さい。
一つじゃないしと思ったが、比革は了承した。こういう店ではよくある事だ。
駆け引きは好きではないが、それに少しでも役にたてるのは嫌いではなかった。
アツシが煙草の火をつけるタイミングを見計らってユキに電話をかけ、通話になった瞬間に電話を切った。
少し不機嫌に見えたアツシにも悪い気はしたが、今夜は特別な日になりそうな、そんな予感がしていた。
幸い他の客がみんな帰っていたので、自分の仕事がやりやすかった。
アツシから注文が万城村から伝えられた。
悩んだが、ロングアイランドアイスティーを作るのには自然な動作だった。
普段なら変えることのないコースターに渡されたメモをはさみ、アツシの目の前に差し出した。
どうやら気づく様子がないので、しばらく放っておくことにした。
万城村にしばらくしたら話しかけるように伝えておいた。
メモを眺める彼が何だか可愛く見えたが、いいかげんヒントを出すことにした。
アツシさん、これを。
そういって空いたグラスの横に一本のペンを置いた。
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しばら眺めてペンと格闘していたが、どうやら答えが分かったようだ。
彼の顔から笑顔がこぼれた。
アツシは電話をかけていた。
仕事だと言っていたから出ないとは思っていたのだが、すぐに通話となった。
遅い…
ユキが開口一番言い放った。
そして店の扉が開いた。
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アツシの隣に再び座るとカウンターの上に置かれているメモには眼を落とした。
春野 淳司
       雪
北川の苗字が消されてあるのが分かった。
ユキは彼の肩に身体を預けた。
で、とうしてくれるの?
アツシは先日買っていた指輪をユキに渡した。
冬が終わりを告げ、春の雪融けの季節となった。
ー E N D ー